熱源 川越宗一著
2020-03-19 (木)
直木賞受賞作は殆ど呼んだことは無かったが、今回は「アイヌ」の文字に惹かれ購入した。
時代は日清・日ロ戦争の頃の史実を基にして紡がれたフィクションで、ロシアとポーランドを絡ませながらサハリンアイヌの人たちの流転を描いている。
先住民として平和な生活を送っていた彼らに襲い掛かるのは、時にロシア、時には日本の権力であり、アイヌとしてのアイデンティティーの模索の話でもある。
遡れば、江戸末期から続く土地の収奪、圧政は、アイヌの人たちを置き去りにしたまま今に至っていることを、今更ながら考えさせられた。