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2019-04月
令和
2019-04-09 (火)
元号に対してこれほどの違和感は「令」という字源から出て来る。
「角川字源辞典」には、意味「ひざまずいている人に大声でさしずする」とある。
4番目、5番目にやっと良い意味合いが出てくるが、一般にはやはり命令や法令などのイメージが強い。
ネット上でも様々な異論がある。
東京大学史料編纂所の本郷和人教授は次のように話す。
『令旨』という言葉は皇太子の命令という意味、天皇の意を受けた命令文書は『綸旨』。
だから、『令』は天皇にふさわしくないのです。
「万葉集」からの出典は初の国書からの典拠だとして、政府は得意げだが、皇室で和歌を教えてきた、岡野弘彦さんは指摘する。
「大和言葉を使った和歌ではなく、漢語的な表記で歌われた和歌です。あの時代、宮廷で仕える役人は、中国の漢文を使うのが普通ですから、これまでの元号と変わりはありません」
それを国書からと声高に叫ぶのは、いかがなものかと思ってしまうという。
「『巧言令色鮮し仁』という有名な言葉があります。『巧言』というのは巧みな弁舌という意味。
『令色』は作り笑い。
つまり忖度の意味ですね。
『鮮し仁』というのは仁(今の言葉で愛)には遠いという意味です。
安倍首相はどうしてこの『令』を元号に取り入れたのか
専門家によっては完全な否定です。
しかしながら、これからこの新元号に付き合っていかなければならない身としては、マイナス面を払拭したい。
ひざまづく対象は現憲法だと考えれば、素直に従うことが可能だ。
平和への希求に繋がる平和憲法の命令であれば、喜んでそれに従えるというものだ。
5月1日からの新元号の始まりを喜ばしい気持ちで迎えよう。
「宝島」真藤順丈著
2019-04-02 (火)
第160回直木賞受賞作
戦後から本土復帰までの沖縄の激動期に生きた若者たちの心の葛藤を描いた作品。
国内では多くを語られてこなかった米軍による人権蹂躙の歴史、そして、沖縄の本土復帰に単純な喜びしか記憶に留まっていない己の無知を痛感させられた。
そして、今なお米軍による治外法権の占領は継続しており、日本政府からの人権無視もあからさまになっている辺野古移転工事を顧みるに、沖縄県民の心の痛みに寄り添えない安倍政権に憤りを感じます。
防衛に対する情報公開は限定されているにもかかわらず、対案提示を求める卑劣は許されるものではない。
工事費の増大と工事の長期化は必死で、「世界で最も危険な基地」嘉手納の早期返還の口実はまやかしであり、無能としか言いようがない。
楽園のイメージが大きい沖縄には、今なお癒し切れていない悲哀が存在しているのです。
文字も小さく500頁を越える長編ですが、若い人たちに一読してもらいたい良書です。