「宝島」真藤順丈著
2019-04-02 (火)
第160回直木賞受賞作
戦後から本土復帰までの沖縄の激動期に生きた若者たちの心の葛藤を描いた作品。
国内では多くを語られてこなかった米軍による人権蹂躙の歴史、そして、沖縄の本土復帰に単純な喜びしか記憶に留まっていない己の無知を痛感させられた。
そして、今なお米軍による治外法権の占領は継続しており、日本政府からの人権無視もあからさまになっている辺野古移転工事を顧みるに、沖縄県民の心の痛みに寄り添えない安倍政権に憤りを感じます。
防衛に対する情報公開は限定されているにもかかわらず、対案提示を求める卑劣は許されるものではない。
工事費の増大と工事の長期化は必死で、「世界で最も危険な基地」嘉手納の早期返還の口実はまやかしであり、無能としか言いようがない。
楽園のイメージが大きい沖縄には、今なお癒し切れていない悲哀が存在しているのです。
文字も小さく500頁を越える長編ですが、若い人たちに一読してもらいたい良書です。